ヘレンさんのこと

shokoza2006-03-29

3月24日、ヘレンさんがなくなった。82歳、すい臓がんが見つかってから、3年目に。抗がん剤放射線治療を受け、その間にもずっと太極拳を続けて、2年前には、北京にも修行に出かけるほど元気だった。武当山では、かごには絶対に載らないといってがんばり、急階段をかごかきに追いかけられたり、北京ではお稽古中は、絶対に座りませんとがんばって、ひょう先生を困らせたりしていた。10年ほど道教学院に通っていて、観葉植物と金魚のお世話を受け持っていた。図書室の管理、これもシアトルライブラリーでのボランティアの経験を生かしてやってくださっていた。ヘレンが、いるところは、和やかで、きれいな空間になっていた。クラスでは、真剣な質問をするひとで、お空のような青い目でみつめて迫り、ハリソンを困らせていた。そういう彼女の姿が、今でも教室のあちこちに見えてしまう。ほんの2週間前、腹水がたまって苦しく、もうお稽古にはこれません、と姿が見えなくなって、一週間前ハリソンが会いに行くととてもよろこんで、彼に握られた両手を「洗わないで置けばよかった」といっていたという。翌日、意識混濁ということで入院した彼女を見舞った時、私に気づいて、両手をしっかり握り締めてくれた。と下を見て、「あらあら、こねこちゃんが、こんなところに!」(最近膝猫することが多いので、猫の気まで連れてきちゃったのか。)それから疲れた彼女は眠りについたが、丹田が上下するのがよく見えた。翌日見舞ったとき、すでに遠くにいっているような安らかな寝顔をして、こちらも平安さに包まれてしまった。翌日、それまで会えなかった末の息子さんの顔を見た後、息を引きとられた。