イヴの3つの顔

アレクサンダー・テクニーク的に面白かった映画。主演は、ジョアン・ウッドワード(ポール・ニューマンの奥さん)で1957年にアカデミー主演女優賞を、この映画でとっている。ATを勉強したことがあるそうだ。この作品の前か後かは、わからないが。
 イブ・ホワイトは、アメリカ中西部の一主婦、5歳の女の子の母であるが、流産をきっかけに、2重人格症状があらわれる。おとなしい、夫の言うことは何でも聞く、従順な妻。それが、別人28号イブ・ブラックになると、派手な化粧、派手なドレスを着てナイトクラブに出かけ、踊ったり歌ったり。酒は呑む、タバコはすう、男はひっかける。で、困った、夫が精神科医に連れて行き、治療が進むに連れて、第三の人格この両極端のバランスをとって、調和した人格のジェーンがあらわれてくる。という筋だが、脚本は、臨床例を基に書かれたもの、でほんとにあった話らしい。
 二つの性格を見事に演じわけている、それも、医者が呼ぶとすぐ出てくる、というのがなかなかすごい。映画も後半になると、主婦のイブはだいぶんつかれてきて、裏庭で子供とまり投げをするのも、おっくうそうだ。猫背になり、まなざしもどんよりしている。あらあら、ボールが縁の下に入ってしまった(アメリカにも縁の下のあるうちがあったんだ。)まったくやんなちゃう、つかれてんのに、この子は・・・・。と縁の下に近づくと、そのときジェーンが忽然と現れる。壁にもたれているイブ・ホワイトの疲れた背中が、すいすいと伸び(この伸びるところが、アレクサンダー的)振り向いた顔には、知性あふれる瞳がこどもをみつめている。
 個人的には、イブ・ブラックが好みなんで、彼女がさよならをいったときには、ちょっと残念な気がした。誰か私に催眠術をかけたら、そういう人格が出てきちゃうかもしれない。